研究テーマ詳細

葉の形ができる仕組みの解明

 植物の葉は、種や系統により多様な形や代謝を示します。葉は、幹細胞から形成される点が共通である一方で、最終的な葉の形ができる過程は多様です。生物の共通性と多様性を支配するメカニズムを研究する上で、葉は適した対象となります。本研究テーマでは、葉の形成メカニズムに関して、遺伝子、RNA、タンパク質、低分子化合物の観点から解析を行い、オリジナル原理を見出すことを目的とします。

 これまでに、葉の形成における植物特異的マスター転写因子の発見を端緒とし、葉の縁や表面の平滑な形態を形成するメカニズムの一端を明らかにしました。この発見を基盤として、現在は、葉の形成の初期から、成熟し、老化(枯れること)に至るまで、マスター転写因子が包括的に制御することを期待した研究を行っています。特に、マスター転写因子と協働する遺伝子・RNA・タンパク質・化合物の同定を進めています。これらの解析により、葉の発生を実行する細胞の分裂・伸長・分化・代謝等の分子実体と、それら機能を統合するメカニズムを解明します。

【原著論文】

1.Sugahara K, Kitao K, Yamagaki T, Koyama T. (2020) Practical optimization of LC-MS conditions and pretreatment methods toward the sensitive quantification of auxin in plants. Rapid Commun. Mass Spectrom. 34, e8625 [publisher]

2.Koyama T, Sato F. (2018) The function of ETHYLENE RESPONSE FACTOR genes in the light-induced anthocyanin production of Arabidopsis thaliana leaves. Plant Biotechnol. 35, 87-92 [publisher]

3.Koyama T, Sato F, Ohme-Takagi M. (2017) Roles of miR319 and TCP transcription factors in leaf development. Plant Physiol. 175, 874-885. [publisher]

【総説】

1.Koyama T. (2018) A hidden link between leaf development and senescence. Plant Sci. 276, 105-110. [publisher]

2.小山 知嗣 (2018) 「葉の形を決めるマイクロ RNA ネットワーク」 化学と生物 56, 774-776. [publisher]

小山 知嗣

主席研究員
統合生体分子機能研究部

菅原 孝太郎

研究員
構造生命科学研究部

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