タイトル
脊椎動物の頭部の起源を探る
~ホヤでみつかった始原的神経堤と頭部プラコード(仮題)~
日下部 岳広 教授
甲南大学 理工学部
統合ニューロバイオロジー研究所 所長
甲南大学 理工学部
統合ニューロバイオロジー研究所 所長
日時:2024年12月17日(火) 15:00 – 16:30
(発表60分 質疑30分を予定)
場所:サントリーワールドリサーチセンター および オンライン(Teams)
(〒619-0284 京都府相楽郡精華町精華台8-1-1)
https://www.sunbor.or.jp/about/access/
日下部先生のグループは10月にNature誌で、ヒトを含む脊椎動物の受精間もない胚に存在し、脳の神経系などを作る役割を持つ「神経堤(てい)」と呼ばれる構造が、無脊椎動物のホヤで見つかったことを発表し、多くのメディアで紹介されました。著者の日下部先生に神経堤や脳・神経の進化についてご講演を頂きます。
要旨
脊椎動物胚の神経板と表皮の間に形成される神経堤と頭部プラコードは、頭部形成になくてはならない細胞集団であり、神経堤と頭部プラコードを獲得することで脊椎動物が進化したといわれている。脊椎動物は化石種も含め、みな発達した頭部を備えているため、頭部の進化的起源は謎であった。私たちは、脊椎動物に最も近縁な無脊椎動物であるホヤ類が原始的な頭部プラコードをもつことを2015年に報告した(Abitua et al. Nature 2015)が、神経堤の存在ははっきりしていなかった。最近私たちは、一細胞レベルの遺伝子発現解析と細胞追跡実験を駆使することにより、ホヤ胚の神経板と表皮の間に存在する細胞が神経堤の性質をもつことを明らかにした(Todorov et al. Nature 2024)。本セミナーでは、ホヤを用いて得られた最新の知見を紹介し、脊椎動物の頭部の起源と進化について考察する。