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2023.09.25 研究業績

新規ステビオール配糖体の構造決定と甘味評価

Identification, chemical synthesis, and sweetness evaluation of rhamnose or xylose containing steviol glycosides of stevia (Stevia rebaudiana) leaves

Journal of Agricultural and Food Chemistry 71, 11158-11169 (2023)
Open access DOI: 10.1021/acs.jafc.3c01753
渡辺 健宏1、藤川 紘樹1、浦井 聡一郎2、岩城 一考3、平井 正良4、宮川 克郎4、浦谷 宏1
山垣 亮1、長尾 浩二3、横尾 芳明3、島本 啓子1
1 公益財団法人サントリー生命科学財団 生物有機科学研究所
2 サントリーホールディングス株式会社
3 サントリー食品インターナショナル株式会社
4 サントリーグローバルイノベーションセンター株式会社

 Stevia rebaudianaの葉から得られるステビオール配糖体は、天然の低カロリー甘味料として食品産業で使用されています。その中でも、すべての糖がグルコース(Glc)残基からなるsteviosideやrebaudioside Aなどは含有量も多く、味質について研究がなされています。一方で、ラムノース(Rha)やキシロース(Xyl)残基を含む蓄積量が少ないマイナー成分の特性についてはあまり報告されていませんでした。本論文では、開発したステビア葉からRhaまたはXylを含む5種のステビオール配糖体を検出および構造を決定し、それらの甘味度や味質の評価を行いました。はじめに、ステビア葉からの抽出液をLC-MS/MSに供し、質量分析によるフラグメンテーション解析から高度にグリコシル化されたステビオール配糖体の構造を推定しました。次に、天然物を利用して推定構造の化学合成を行い、基準サンプルを得ました。そして、基準サンプルとステビア葉抽出物のLC-MS/MSデータの照合を行うことで新規で検出したステビオール配糖体の構造を同定しました。基準サンプルを使って官能評価を実施したところ、Xylを含む配糖体であるrebaudioside FX1(図1)がバランスの良い甘味を示すことが明らかになり、食品産業で使用される天然甘味料の候補として有望であることがわかりました。機器分析と化学合成を組み合わせることで、微量であっても有用な成分を効率よく見つけ出すことができました。

図1 未同定ステビオール配糖体の探索と構造同定、官能評価

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